俺は、嫁の財産目当てで結婚した。
「誰がこんなデブスと…」
最初はそう思っていた。だが、嫁の親の莫大な財産を知った瞬間、俺の考えは一変した。上手くごまかして、何とか結婚まで持ち込んだのだ。遊び放題の許可も取っていたし、浮気三昧の日々を想像していた。
それもそのはず、俺には莫大な財産さえ手に入れば、嫁自身には全く興味がなかったからだ。婚約時代は毎週、愛の言葉を囁き、手を握り、親密な関係を装っていた。気持ち悪くても、全ては財産を手に入れるためのルーチンワークだと自分に言い聞かせていた。
しかし、結婚後、俺は想像もしていなかった状況に陥った。
「こんなはずじゃなかった…」
嫁と一緒に暮らし始めてから、俺は驚愕の事実に直面した。なんと、俺は嫁を愛してしまったのだ。
結婚当初は、女遊びや酒に溺れることを夢見ていた。だが、今ではそれらは全く興味を失った。仕事から帰れば、家に直行し、嫁と過ごす時間が何よりも大切になっていたのだ。
嫁は、俺の収入の全額を管理していたが、小遣いとして8割を返してくれる。その理由は、嫁自身が親の会社で役員を務め、年収が俺の倍以上あるからだ。彼女は実質専業主婦だが、俺にとっては何も不満はない。むしろ、嫁と過ごす時間が、俺にとって最も幸福な時間となっていた。
俺が変わった理由は、嫁の純粋な愛情に触れたからだろう。毎朝早く起きて、俺の靴を磨いてくれる嫁の姿を見ていると、次第に彼女への感謝の気持ちが芽生えてきた。冷たい雨の日、改札口で傘を忘れた俺のために1時間近く待ってくれていた時には、涙が出そうになった。
スーパーで偶然離れた時、嫁の不安そうな顔と、俺を見つけて駆け寄ってくる時の嬉しそうな顔を見た瞬間、俺は確信した。俺の人生において、最も大切な存在はこの嫁だと。
嫁は決して「どこにいたの?」と攻撃的な言葉を口にすることはない。むしろ、「見失っちゃってごめんね」と、恥ずかしそうに腕を組んでくる。その優しさに触れるたびに、俺の心は温かくなった。
今では、嫁の容姿など全く気にならない。重要なのは、彼女が俺にとって人生の目的になったということだ。多少の財産があっても、それが彼女の存在を超えることはない。俺にとって、嫁こそが最も大切な存在であり、彼女との生活が何よりの幸せだと感じるようになった。
俺は、24歳まで独りで過ごしてきた。昔は自分がモテないからだと思っていたが、今では運命の人を待っていたのだと信じている。嫁が「運命の人(=俺)のために守っていたんだよ」と言ったその言葉が、今では真実だと感じている。
こうして、俺は財産目当てで結婚したはずが、嫁との愛に気づき、真の幸せを手に入れた。世の中には、どこに幸せが転がっているのか分からないものだ。俺にとって、今の嫁との生活が何よりも貴重で、これからも大切にしていきたいと思っている。
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