2年前、私の実家にオレオレ詐欺の電話が頻繁にかかってきた。最初は母も驚いていたようだが、しばらくしてその対応がとてもユニークなものとなっていった。
ある日、母からその話を聞かされた時、私はその内容に驚かされることとなった。どうやら母は、私に心配をかけたくなかったため、当時はこの出来事を黙っていたらしい。しかし、そのやりとりを聞いて思わず笑ってしまった。
「オレオレ」という定番のフレーズで詐欺師が電話をかけてきた時、普通の人なら慌ててしまうだろう。しかし、母は違った。
詐欺師が「オレオレ」と言うと、母は冷静に「誰? 誰?」と何度も繰り返す。詐欺師は「オレだよ!」と何度も答えるが、母はまるで何も感じないように淡々と同じ問いを返し続けた。
このやり取りが何度か繰り返されると、多くの詐欺師は諦めて電話を切ってしまった。しかし、中にはしつこく食い下がる詐欺師もいた。
その時、母はさらなる一手を繰り出した。「あっ、ひろし?」と名前をあげると、詐欺師は「そうだよ、母さん、ひろしだよ」と答えた。そこで母は、「あっ、間違えた。うちの子はたけしだった」と返したのだ。
この絶妙な返しに、詐欺師はさぞかし驚いたことだろう。私がこの話を聞いた時、思わず「母ちゃん、すごいな!」と心の中で拍手を送った。
この話を友人たちに話すと、皆が笑いながら「お前の母ちゃん、高田純次みたいだな」と言い出す始末。確かに、母の対応には高田純次のようなユーモアと即興性があったのかもしれない。
友人たちも、「オレオレ詐欺にこんな対応ができる人って、素敵だな」と感心していた。中には、「自分もこんな風に機転を利かせられたら、詐欺師を逆に困らせてやりたい」と言う者もいた。
オレオレ詐欺は本来、家族を心配させ、金銭を騙し取る卑劣な手口だ。しかし、母はそのプレッシャーにも屈せず、むしろ詐欺師を笑い飛ばすことで、我が家を守り抜いたのだ。
母の対応から学べるのは、冷静さとユーモアの力だ。どんなに困難な状況でも、笑顔で切り抜けることができれば、それは家族にとっての大きな支えとなるだろう。
オレオレ詐欺の電話が実家にかかってきたことで、母がどれだけ頼もしい存在かを再確認した。母のユーモア溢れる対応は、ただの防衛策ではなく、家族の絆を再確認するきっかけでもあったのだ。
これからも、家族が一丸となって困難に立ち向かい、笑顔で乗り越えていく姿を守り続けたいと思う。そして、私もいつか母のように、冷静かつユーモアを持って困難に対処できる大人になりたいと感じた。
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