正月のある日、新幹線は帰省や旅行で多くの乗客で混雑していました。私が乗り込んだ車両も例外ではなく、通路には立ち客が溢れ、まるで缶詰状態でした。その中で特に目立っていたのは、通路の出入り口付近に立つ一人の大学生風の男性でした。
その大学生は、ゲーム機のPSPに夢中でイヤホンをつけていました。後ろからまだ乗り込んでくる乗客がいるにもかかわらず、立ち続けて通路を塞いでいました。多くの乗客が迷惑そうな顔をしながらも、無理やり彼の横を通り抜けていました。
しかし、少しお腹が出た妊婦さんが通路を通ろうとすると、どうしてもその大学生の横を通り抜けることができず、立ち往生してしまいました。
その途中で、車両全体に響き渡る大声が聞こえてきました。
「ごらぁ!てめぇ、何をつったとんじゃあ!はよどかんかわれぇ!」
大阪弁なのか広島弁なのか、わからないけれど、サングラスをかけたスーツ姿の男性が立ち上がり、怒鳴っていました。「893きたぁ!」と思わず心の中で叫びました。
その男性はさらに続けました。「後ろがつまっとろうが、前に詰めるか避けるかして道あけんか!」
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