正月のある日、新幹線は帰省や旅行で多くの乗客で混雑していました。私が乗り込んだ車両も例外ではなく、通路には立ち客が溢れ、まるで缶詰状態でした。その中で特に目立っていたのは、通路の出入り口付近に立つ一人の大学生風の男性でした。
その大学生は、ゲーム機のPSPに夢中でイヤホンをつけていました。後ろからまだ乗り込んでくる乗客がいるにもかかわらず、立ち続けて通路を塞いでいました。多くの乗客が迷惑そうな顔をしながらも、無理やり彼の横を通り抜けていました。
しかし、少しお腹が出た妊婦さんが通路を通ろうとすると、どうしてもその大学生の横を通り抜けることができず、立ち往生してしまいました。
その途中で、車両全体に響き渡る大声が聞こえてきました。
「ごらぁ!てめぇ、何をつったとんじゃあ!はよどかんかわれぇ!」
大阪弁なのか広島弁なのか、わからないけれど、サングラスをかけたスーツ姿の男性が立ち上がり、怒鳴っていました。「893きたぁ!」と思わず心の中で叫びました。
その男性はさらに続けました。「後ろがつまっとろうが、前に詰めるか避けるかして道あけんか!」
大学生は反論しました。「通っている人いるじゃないですか…」
しかし、男性は一歩も引きませんでした。「ええかげんにせぇよわれ、後ろ見てみぃ困っとるひとがおろうが!」
それでも大学生は「誰か車掌を呼んでください。変な人がいるって!」と叫びましたが、周りの乗客は全員無視していました。
男性は冷静に言いました。「俺は警察じゃ。(ここから標準語)皆様お騒がせして申し訳ありません。警察の者です。お手数ですがどなたか車掌を呼んで…」
その瞬間、大学生は逃走しました。混雑していたため、警察と名乗った男性は追いかけず、むしろ妊婦さんとそのお子さんに席を譲りました。連れのスーツ姿の男性2人も同様に指定席を譲り、子供の相手をしたり荷物を棚に上げたりしていました。
見た目は全員893っぽく、特にサングラスをかけた男性は耳がちぎれたように見え、非常に怖かったです。しかし、彼らは心優しい人たちで、妊婦さんに対しても非常に親切に接していました。妊婦さんは恐縮しつつも何度もお礼を言っていましたが、心中はビクビクしていたに違いありません。
この出来事から、見た目だけで人を判断してはいけないことを改めて感じました。見た目は怖くても、心優しい警察官たちのおかげで、妊婦さんは無事に席に座ることができました。
私たちも、困っている人を見かけたら、勇気を持って助けることが大切だと感じました。
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